幸福な王子
今日は図書館に行きました。6時間くらいいました。図書館になら1日だっていられるぜ!
あ、図書館で、大仏の本を見ていました。「大仏を作るの、大分疲れそう・・」(´^ω^`)ブフォwwwなんて考えながら
はい、なんか俺のさむーいダジャレが三連続ですね(笑)冷たい目で見てやってください。
あ、あと、図書館で読んできた本の紹介です!著作権が切れているので、載せたいと思います!「幸福な王子」です!
僕の要らぬツッコミ(雑音)も入ってます!(笑)とても長いので、読んでやってくださるという有難いお客様はそのままスクロールしてください!
町の空高く、高い円柱の上に、幸福な王子の像が立っていました。全身薄い純金の箔がきせてあり、目にはふたつのきらきらしたサファイアが、また大きな赤いルビーが刀の柄に輝いていました。
王子はじっさい非常な賞讃の的でした。「風見の鳥みたいに美しい」と、芸術的な趣味の所有者との評判を得たがっていた市会議員のひとりが言ってから、「ただ、それほど役には立たんがね」とつけ加えました。それは非実際的な人間だと考えられはしないかと、それが心配でそう言ったのでしたが、じつは非実際的な人間では無かったのです。
「なぜ幸福な王子さまみたいになれないの?」と、ものわかりのよい母親が、月がほしいよと言って泣いている小さな男の子にたずねました。「幸福な王子さまはね、何かがほしいといって泣くなんて、夢にも思わないよ」
「本当に幸福な人間がこの世に誰かいるとはうれしいことだ」と、そのすばらしい像を見つめながら、失望した男が呟きました。
「天使そっくりだね」と、あざやかな真紅の外套を着て、きれいな白い前掛けをつけて大会堂から出てきた、慈善学校の児童たちが言いました。
「どうしてそれがわかる?」と数学の先生が言いました、「天使なんか見たこともないくせに」
「ああ!でも見たことあるんです、夢の中で」と児童たちは答えました。すると数学の先生は、まゆをひそめて、とてもこわい顔をしました、というのは子供が夢をみることに賛成しなかったからです。
ある夜、一羽の小さなつばめが、この町の上空へ飛んできました。友達は六週間まえにエジプトへ行ってしまったのですが、彼だけはあとに残っていました、というのは一等美しい葦に恋をしていたからです。春も浅いころ、大きな黄色い蛾を追いかけて川を舞い降りていたとき、その葦に会い、その細い腰がすっかり気に入ったので、飛ぶのをやめて葦に話しかけました。
「あなたを好きになっても構わない?」と単刀直入派のつばめは言いました、すると葦は低いお辞儀をしました。それでつばめは葦のまわりをぐるぐる飛び回り、翼を水に触れて、銀色のさざなみを立てました。これがつばめの求愛で、それは夏のあいだじゅうずっと続きました。
「ばかげた惚れこみようだ」とほかのつばめたちが、さえずりました。「葦には金もないし、それに身内が多すぎるぜ」。じっさい、川は葦でいっぱいだったのです。それから、秋が来ると、みんな飛び去ってしまいました。
仲間がいなくなると、つばめは寂しくなり、恋人にも嫌気がさしてきました。「話もしてくれないし、それに、なんだか男たらしみたいだな、いつも風とふざけあってるから」。たしかに、風の吹くたびに、葦はこの上なくしとやかなお辞儀をしたのです。「なるほど、出ぎらいな女だ、しかしぼくは旅が好きなんだから、僕の妻たるものも、旅が好きでなくてはいけない」「ぼくと一緒に出かけない?」とうとう、つばめは葦に言いました。ところが、葦は頭を横に振りました。それほど自分の家になじんでいたのですり
「きみはぼくをおもちゃにしてたんだね」つばめは叫びました。「ぼくはピラミッドのところへ行くよ。さようなら!」そして飛び立ちました。
一日中、つばめは飛び続け、夜になってこの町に着きました。「どこにとまろうかな?町で用意をしてくれているといいんだがな」
そのとき、高い円柱の上の像が目にとまりました。
「あそこにとまろう。さわやかな風のかよういい場所だ」。そうして幸福な王子の両足のまんなかにとまりました。
「金の寝室ができた」あたりを見回しながら、つばめはそっとひとりごとを言って、寝る支度をしました。ところが、頭を翼の下へ入れようとしていた、ちょうどそのとき、大きな水の雫が体にたれかかりました。「なんて奇妙なことだ!空には雲一つなく、星もよく冴えて、きらきらときらめいている、それだのに雨が降ってるなんて。ヨーロッパ人の北方の気候ときたら、どうにもやりきれない。葦は雨が好きだったものだが、しかしあれはまったくあいつの身勝手というものさ」
すると、また一滴、落ちてきました。
「雨よけにならないくらいなら、像なんてなんの役に立つというんだ?ちゃんとした煙突を捜さなくちゃあ」と言うと、飛び去る決心をしました。
ところが、翼をひろげないさきに、もう一滴落ちてきました、それで、つばめは目をあげて、見たのです――ああ!何をみたのでしょう?
幸福な王子の目が涙でいっぱいになり、黄金の頬を涙が流れ落ちてあたのです。王子の顔が月光を浴びてあまりにも美しかったので、小さいつばめは憐れみの気持ちで胸がいっぱいになりました。
「あなたは、どなたですか?」
「わたしは幸福な王子だ」
「それじゃあなぜ泣いていらっしゃるのです?おかげでびしょ濡れになってしまいましたよ」
「私が生きていて人間の心をもっていたころは、涙とはどんなものか、知らなかった、無憂宮(サン・スーシー)き住んでいたからで、そこへは悲しみが入ることを許されていないのだ。昼間は仲間と庭で遊び、夜になると私は大広間で舞踏の先頭に立った。庭のまわりにはとても高い塀がめぐらしてあったが、その塀の向こうには何があるのか、聞いてみたいとも思わなかった、まわりのものがみんなそれほどきれいだったから。延臣たちはわたしを幸福な王子と呼んだし、わたしもじっさい幸福だったのだ。もし快楽が幸福であるとしたらね。そんなふうに私は生き、そんなふうにわたしは死んだ。ところが死んでしまうと、みんなはわたしをこんな高いところに立てたものだから、わたしの町の醜さとみじめさがすっかり見えてしまうのだ、そしてわたしの心臓は鉛でできてはいるが、それでも私は泣かずにはいられないのだ」
「なんだって!この像は金のかたまりじゃないのか?」とつばめはひとりごとを言いました。よく礼儀をわきまえていたので、おおっぴらにひとのことをとやかくいうような真似はしなかったのです。
「ずっと向こうの」と低い、調子のよい声で、像は語り続けました。「ずっと向こうの小さな通りに、貧しい家が一軒ある。窓がひとつあいていて、テーブルに向って坐っている女の姿が窓越しに見える。顔はやせて、やつれており、がさがさした、赤い手、針の跡だらけの手をしている、針子なのでね。女王の官女のなかでいちばんきれいなひとが、今度の宮中舞踏会で着る繻子のガウンに、トケイソウを縫いとっているのだ。部屋の片隅の寝台に、その女の小さい男の子が病気で寝ている。熱病にかかっていて、オレンジを欲しがっている、母親には川の水しかやるものがないので、子供はおいおい泣いている。つばめさん、つばめさん、小さいつばめさん、この刀の柄からルビーをはずして、その女のところへ持って行ってやってくれないか?わたしの足はこの台座に作りつけになっているので、動けないから」
「エジプトではわたしを待ってくれています。わたしの友達はナイル川を舞い上がり舞い降りして、大きな蓮の花に話しかけています。やがてみんなは、えらい王様の墓場へ行って眠るでしょう。その墓場には王様ご自身も彩色した棺の中にいらっしゃるのです。黄色いリンネルに包まれ、香料がたきこめてあります。首のまわりに、淡い緑色の硬玉の鎖がかかっており、しぼんだ木の葉みたいな手をしておられます」
「つばめさん、つばめさん、小さいつばめさん、一晩だけわたしのところにいて、使者になってくれない?あの男の子は、のどがからからになっているし、母親は心から悲しんでいる」
「男の子は嫌です。この夏、川のほとりにいたとき、粉屋のせがれの悪童がふたり、いつもわたしに石を投げつけました。当たりっこ無かったですけどね、もちろん。わたしたちつばめはとてとうまく飛びますから、石など当たりはしませんし、その上、わたしはすばしこいので有名な一家の出なのです。でもやはり、そんなことをするのは礼を失したしるしでしたよ。」
しかし幸福な王子があまり悲しそうな顔をしているので、小さいつばめは気の毒になりました。
「ここはとても寒い。でも、一晩あなたのところにいて、使者になってあげましょう」
「ありがとう、小さなつばめさん」
それで、つばめは王子の刀から大きなルビーをつつき出すと、それをくちばしにくわえて、町の屋根の上を飛んでいきました。
大会堂の塔のそばを飛びすぎましたが、そこには白い大理石の天使の彫刻がありました。宮殿のそばを飛びすぎると、舞踏の音が聞こえました。美しい少女が恋人とともにバルコニーへ出てきました。「なんて星がすばらしいことでしょう」と恋人が少女に言いました、「そして愛の力はなんとすばらしいことでしょう!」
「わたくしの衣装が宮中大舞踏会に間に合うといいのですけれど。トケイソウの縫いとりをしておくようにと言いつけてありますの。でも、お針子なんて、とても怠け者ですものね。」
川の上を飛んでいくつばめの目に、船の帆柱にちょうちんがかかっているのが見えます。ユダヤ人町の上を飛びすぎると、年をとったユダヤ人たちが取り引きをしながら、銅の天秤でお金をはかりわけているのが見えます。とうとう貧しい家に着いて、中をのぞき込んでみました。男の子は熱に浮かされて寝台でころげ回っているし、母親は眠りこんでいる、もうくたくたに疲れていましたから。つばめは、ぴょいと部屋の中へ跳びこむと、テーブルの上にら女の指貫とならべて、大きなルビーを置きました。それから、しずかに寝台のまわりを飛び回りながら、翼で男の子の額をあおいでやりました。「ああ涼しい」と男の子は言いました。「きっと体も良くなるにちがいない」そう言って、こころよい眠りにつきましたり
そこでつばめは幸福な王子のもとへ飛んで帰って、自分のしたことを話しました。「奇妙ですね。今とても暖かい気持がするのですよ、気候はひどく寒いのに」
「それはお前が、よい行いをしたからだよ」と王子は言いました。そして小さなつばめはものを考え始めましたが、やがて眠り込んでしまいました。考え事をすると、つばめはいつも眠くなるのでした。
夜が明けると、つばめは川のところまで降りていって、水浴びをしました。「なんと驚くべき現象だ」と鳥類学の教授が、橋を渡りながら言いました。「冬のつばめとは!」そして教授はこれに関して長い手紙を地方新聞に寄せました。誰もがそれを引用しましたが、つまりその手紙には意味のわからない言葉がいっぱいつまっていたのです。
「今夜わたしはエジプトへ行きます」とつばめは言って、さきのことを考えて大元気でした。公開の記念碑を残らず見物し、教会の尖塔のいただきに長い間止まっていました。どこへ行っても、すずめがさえずっていて、「なんて素敵なお客様だこと!」と互いに話し合ったので、つばめはすっかりうれしくなりました。
月が出ると、つばめは幸福な王子のもとへ帰りました。「エジプトに何かご用はありませんか?これから出発しますから」
「つばめさん、つばめさん、小さなつばめさん、もう一晩わたしのところにいてくれない?」
「エジプトではわたしを待ってくれています。明日わたしの友達が第二大滝のところまで飛んでいきます。そこでは河馬が蒲のあいだに寝そべっていて、大きな花崗岩の王座にはメムノン神が坐っておられます。夜もすがら星を見つめていて、明けの明星が輝くと、一声喜びの叫びを発して、それから黙ってしまわれます。お昼になると黄色いライオンが、水を飲みに水際までおりてきます。緑色の緑柱玉(ペリル)みたいな目をしていて、その声ときたら大滝のとどろきよりも大きいのです」
「つばめさん、つばめさん、小さなつばめさん、この町のずっと向こう側の、ある屋根裏部屋に、ひとりの青年の姿が見える。書類でおおわれた机によりかかっていて、そばの大コップには、しおれた菫の花束がさしてある。その男の髪の毛は茶色で縮れており、くちびるは柘榴みたいに赤く、大きな夢見るような目をしている。劇場の支配人のために戯曲をひとつ書きあげようとしてるのだけれど、あまり寒くて、もう字が書けないのだ。火格子にはひとかけらも火がなく、ひもじさのあまり目が舞いそうになっているのだ」
(王子さまつばめの話聞いてないな(笑))
「もう一晩だけご用をつとめましょう」とつばめは言いましたが、ほんとうは優しい心の持ち主なのです。「もう一つのルビーを持って行ってやりましょうか?」
「ああ!もうルビーはないのだ。残っているのはこの目だけなのだ。珍しいサファイアでできていて、千年も昔にインドから到来した品なのだ。それをひとつ抜きとって、あの男のところへ持って行ってください。あの男はそれを宝石商に売って、食べものと薪を買い、戯曲を書きあげるだろう」
「王子さま、そんなことはできません」とつばめは言うと、泣きだしました。
「つばめさん、つばめさん、小さなつばめさん、わたしの言いつけどおりにしなさい」
そこでつばめは王子の目を一つ抜き取ると、学生の屋根裏部屋へ飛んでいきました。屋根に穴があいていたので、中へ入るのはなんの造作もありませんでした。その穴からつばめは飛び込んで、部屋に入りました。青年は両手で頭を抱え込んでいたので、つばめの羽ばたきが耳に入らず、顔をあげてみると、しおれた菫の上に美しいサファイアがのっているのが目につきました。
「ぼくもいよいよ世間に認められるようになってきたぞ。これは誰かがぼくを大いに崇拝してくれる人からの贈り物だ。さあ、これで戯曲を書きあげることができる」と叫んで、まったく幸福そうでした。
翌日、つばめは港へ飛んでいきました。大きな船の帆柱にとまって、水夫たちが船倉から網で大きな箱を引き上げているのをじっとながめました。「よいと、まけ!」と水夫たちは、箱が一つずつ出てくるたびに、わーっと大きな声をあげました。「わたしはエジプトへ行くんだ」とつばめは叫びましたが、誰も気にとめるものはなく、月が出ると、つばめは幸福な王子のもとへ帰っていきましたり
「お別れを言いに来ました」
「つばめさん、つばめさん、小さなつばめさん、もう一晩ぼくのところにいてくれない?」
「もう冬です、そしてまもなくここにも冷たい雪が降るでしょう。エジプトでは緑の棕櫚の木に暖かい日が差し、わにが泥の中に腹ばいになって、
物憂げにあたりを見回しています。わたしの仲間がバールベックの神殿に巣を作っているところで、とき色と白の斑の鳩がつばめを見守りながら、くうくうと鳴きかわしています。王子さま、お別れしなければなりませんが、王子さまの事は決して忘れはいたしません。そして来年の春には、王子さまが与えておしまいになった宝石のかわりに、美しい宝石をふたつ持って帰りましょう。そのルビーは赤い薔薇よりも赤く、またサファイアは大海のように青いものにしましょう。」
「下の広場に、小さいマッチ売りの女の子が立っているマッチを溝へ落して、すっかり駄目にしてしまった。いくらかでも金を持って帰らないと、父親に打たれる、それでおいおい泣いているのだ。靴も靴下もはいていないし、小さな頭には何もかぶっていない。わたしのもう一つの目を抜きとって、あの女の子にやっておくれ。そうすれば父親に打たれずにすむだろうからね」
(王子さまつばめの話聞いてなry)
「もう一晩だけあなたのもとにおりましょう。でもあなたの目を抜き取るなんて、わたしにはできません。そんなことをしたら、すっかりめくらになっておしまいになりますよ」
「つばめさん、つばめさん、小さなつばめさん、わたしの言いつけどおりにしなさい」
そこでつばめは王子の目をもう一つ抜き取り、それをくわえてさっさと飛び降りました。マッチ売りの女の子のそばをかすめて舞い降り、その子の掌へ宝石をすべりこませました。「なんてきれいなガラス玉だこと」と小さな女の子は叫びました。そして、笑いながらうちへかけ戻りました。
それからつばめは王子のもとへ帰りました。「あなたはもうめくらにおなりです、ですからわたしはいつまでもあなたのおそばにいましょう」
「いや、小さなつばめさん」と哀れな王子は言いました、「お前はエジプトへ行かなくては」「わたしはいつまでもあなたのおそばにいましょう」とつばめは言って、王子の足元で眠りました。
翌日は一日中、つばめは王子の肩に止まって、自分が数々の異国で見たものの話をしました。その話というのは、たとえば、長い列を作ってナイル川の岸に立ち、嘴で金魚を捕らえる朱鷺のこと、また、この世界と同じだけ年をとっている、砂漠に住んで、なんでも知っているスフィンクスのこと、また、手に琥珀の数珠をたずさえながら、自分の駱駝と並んでゆっくり歩く商人のこと、また、黒檀のように真っ黒で、大きな水晶を崇拝する月の山々の王のこと、また、棕櫚の木で眠り、これを蜜菓子で養うために二十人もの僧がついている大きな緑のヘビのこと、そしてまた、大きな平らな木の葉に乗って大きな湖を渡り、いつも蝶と戦いを交えている小人たちのことでした。
「可愛い小さなつばめさん、おまえは不思議なものの話をしてくれるが、しかし男と女の悲しみこそ、何物にもまして不思議なものだ。悲惨(ミゼリー)にまさる神秘(ミステリー)はない。わたしの町の上を飛んで、小さなつばめさん、そこで目に映るもののことを話しておくれ」
そこでつばめはこの大きな町の上空を飛びました。すると美しい邸で富豪が浮かれ騒いでいる一方、乞食が門のところに坐っているのが見える。薄暗い路地へ飛び込んでみると、ものうげに真っ黒い通りを眺めている、飢えに悩む子供たちの青白い顔が見える。橋桁の下では、二人の小さな男の子が抱きあって互いの体を暖めようとしている。「おなかがすいたよう!」二人は言いました。「こんなところで寝ていちゃあいかん!」と夜回りに怒鳴りつけられて、二人は雨の中へさまよいでましたり
それからつばめは飛んで帰って、見てきた事を王子に話しました。
「わたしの体は純金でおおわれている」と王子は言いました、「それを、一枚一枚剥がして、あの貧しい人々にやっておくれ。生きている者はいつも、黄金さえあれば幸福になれると思っているから」(ペリペリ〜)
一枚また一枚と、つばめは純金の箔を引き剥がしました、それでとうとう幸福な王子はすっかり鈍い灰色の体になってしまいました。一枚また一枚と、つばめは純金の箔を貧しい人々のところへ持っていきました。すると子供たちの顔は薔薇色になり、笑いながら大通りで遊戯をするのでした。
「もうパンには不自由しないぞ!」と子供たちは叫びました。
やがて雪が降り、雪が降った後は霜が降りましたり通りは銀でできているみたいで、それほど明るくきらきらと輝いていました。水晶の短刀みたいな長い氷柱が、家々の軒から垂れ下がり、誰も彼も毛皮にくるまって出歩き、小さな男の子たちは真っ赤な帽子をかぶって氷の上でスケートをしました。
可哀想に小さなつばめは次第に寒くなってきましたが、しかし王子を置き去りにして行こうとはしませんでした。つまり心から王子を愛していたのです。つばめはパン屋が見てない時、パン屋の戸の外でパン屑をついばみ、翼をパタパタさせて体を暖めようとしました。
しかしとうとう、つばめは死期の近づいたことを知りました。やっともう一度ら王子の肩へ飛び上がるだけの力が残っているだけでした。「さようなら、王子さま!」つばめは、つぶやくように言いました。「お手にキスさせてくださいませんか?」
「お前がやっとエジプトへ行くことになってうれしいよ、小さなつばめさん、お前はここに長くいすぎた。でも、わたしのくちびるにキスしなさい、わたしはお前を愛しているのだから」
「わたしが行くのはエジプトではありません。死の家へ行くのです。死は眠りの兄弟です、そうじゃありませんか?」
そしてつばめは幸福な王子のくちびるにキスすると、王子の足元へ落ちて死にました。(チ───(´-ω-`)───ン)
その瞬間、何かが壊れたような、ぴしりという奇妙な物音が像の内側で響きました。実を言うと、鉛の心臓が、パチリと真っ二つに割れたのです。それはいかにも恐ろしく厳しい霜でした。
翌朝早く、下の広場を、市長が市議会議員たちとつれだって歩いていました。一同が円柱のそばを通り過ぎた時、市長は像を見上げました。「おやおや!幸福な王子はなんてみすぼらしい身なりをしているんだ!」と市長は言いました。
「まったくなんてみすぼらしい!」と市議会議員たちは叫びましたが、みんないつも市長の言うことに同意するのでした。そして一同は像を見るために近寄りました。
「ルビーから刀が抜け落ちているし、目も無くなっているし、もう金ピカじゃない!」と市長は言いました。「まったくのところ、乞食も同然だ!」
「乞食も同然だ」と市議会議員たちは言いました。
「それに、現に死んだ鳥が足元にいるぞ!」と市長は続けました。
「ここで鳥が死ぬのは許されるべきではない、という布告をちゃんと出さねばならん」。そして市役所の事務官がその提案を書き留めました。
そこでみんなは、幸福な王子の像を引き下ろしました。「もはや美しくないのだから、もはや役に立ちはしない」と大学の美術の教授かま言いました。
それからみんなは像を炉で融かし、その金属をどう処分すべきかを決めるために市長は市自治体の集会を催しました。「もちろん、別の像を立てねばならん」と市長は言いました。「そしてそれはわしの像にしよう」
「わしのだ」と市議会議員はめいめい主張して、口論しました。この前彼らのことを耳にしたときも、まだ口論していたのですり
「なんて不思議なことだ!」鋳物工場の職工長が言いました。「このこわれた鉛の心臓は、炉に入れても融けやしない。捨てなくちゃならん」。そこでみんなは、つばめの死骸の転がっている塵の山へ、鉛の心臓を投げ捨てました。
「町中で一番貴いものを二つ持ってきなさい」と神様が天使の一人に言われました。そこで天使は鉛の心臓と死んだ小鳥を神様のところへ持っていきました。
「お前の選択は正しかった」と神様は言われました、「天国のわたしの庭で、この小鳥が永遠に歌い続けるようにし、わたしの黄金の町で幸福な王子がわたしを賞めたたえるようにするつもりだから」
ご閲覧ありがとうございました!
長かったですね!これ、僕が全部打ったんですよ!コピペとかじゃなくて。もう二度とやりません(。´-д-)疲れた。
あ、図書館で、大仏の本を見ていました。「大仏を作るの、大分疲れそう・・」(´^ω^`)ブフォwwwなんて考えながら
はい、なんか俺のさむーいダジャレが三連続ですね(笑)冷たい目で見てやってください。
あ、あと、図書館で読んできた本の紹介です!著作権が切れているので、載せたいと思います!「幸福な王子」です!
僕の要らぬツッコミ(雑音)も入ってます!(笑)とても長いので、読んでやってくださるという有難いお客様はそのままスクロールしてください!
町の空高く、高い円柱の上に、幸福な王子の像が立っていました。全身薄い純金の箔がきせてあり、目にはふたつのきらきらしたサファイアが、また大きな赤いルビーが刀の柄に輝いていました。
王子はじっさい非常な賞讃の的でした。「風見の鳥みたいに美しい」と、芸術的な趣味の所有者との評判を得たがっていた市会議員のひとりが言ってから、「ただ、それほど役には立たんがね」とつけ加えました。それは非実際的な人間だと考えられはしないかと、それが心配でそう言ったのでしたが、じつは非実際的な人間では無かったのです。
「なぜ幸福な王子さまみたいになれないの?」と、ものわかりのよい母親が、月がほしいよと言って泣いている小さな男の子にたずねました。「幸福な王子さまはね、何かがほしいといって泣くなんて、夢にも思わないよ」
「本当に幸福な人間がこの世に誰かいるとはうれしいことだ」と、そのすばらしい像を見つめながら、失望した男が呟きました。
「天使そっくりだね」と、あざやかな真紅の外套を着て、きれいな白い前掛けをつけて大会堂から出てきた、慈善学校の児童たちが言いました。
「どうしてそれがわかる?」と数学の先生が言いました、「天使なんか見たこともないくせに」
「ああ!でも見たことあるんです、夢の中で」と児童たちは答えました。すると数学の先生は、まゆをひそめて、とてもこわい顔をしました、というのは子供が夢をみることに賛成しなかったからです。
ある夜、一羽の小さなつばめが、この町の上空へ飛んできました。友達は六週間まえにエジプトへ行ってしまったのですが、彼だけはあとに残っていました、というのは一等美しい葦に恋をしていたからです。春も浅いころ、大きな黄色い蛾を追いかけて川を舞い降りていたとき、その葦に会い、その細い腰がすっかり気に入ったので、飛ぶのをやめて葦に話しかけました。
「あなたを好きになっても構わない?」と単刀直入派のつばめは言いました、すると葦は低いお辞儀をしました。それでつばめは葦のまわりをぐるぐる飛び回り、翼を水に触れて、銀色のさざなみを立てました。これがつばめの求愛で、それは夏のあいだじゅうずっと続きました。
「ばかげた惚れこみようだ」とほかのつばめたちが、さえずりました。「葦には金もないし、それに身内が多すぎるぜ」。じっさい、川は葦でいっぱいだったのです。それから、秋が来ると、みんな飛び去ってしまいました。
仲間がいなくなると、つばめは寂しくなり、恋人にも嫌気がさしてきました。「話もしてくれないし、それに、なんだか男たらしみたいだな、いつも風とふざけあってるから」。たしかに、風の吹くたびに、葦はこの上なくしとやかなお辞儀をしたのです。「なるほど、出ぎらいな女だ、しかしぼくは旅が好きなんだから、僕の妻たるものも、旅が好きでなくてはいけない」「ぼくと一緒に出かけない?」とうとう、つばめは葦に言いました。ところが、葦は頭を横に振りました。それほど自分の家になじんでいたのですり
「きみはぼくをおもちゃにしてたんだね」つばめは叫びました。「ぼくはピラミッドのところへ行くよ。さようなら!」そして飛び立ちました。
一日中、つばめは飛び続け、夜になってこの町に着きました。「どこにとまろうかな?町で用意をしてくれているといいんだがな」
そのとき、高い円柱の上の像が目にとまりました。
「あそこにとまろう。さわやかな風のかよういい場所だ」。そうして幸福な王子の両足のまんなかにとまりました。
「金の寝室ができた」あたりを見回しながら、つばめはそっとひとりごとを言って、寝る支度をしました。ところが、頭を翼の下へ入れようとしていた、ちょうどそのとき、大きな水の雫が体にたれかかりました。「なんて奇妙なことだ!空には雲一つなく、星もよく冴えて、きらきらときらめいている、それだのに雨が降ってるなんて。ヨーロッパ人の北方の気候ときたら、どうにもやりきれない。葦は雨が好きだったものだが、しかしあれはまったくあいつの身勝手というものさ」
すると、また一滴、落ちてきました。
「雨よけにならないくらいなら、像なんてなんの役に立つというんだ?ちゃんとした煙突を捜さなくちゃあ」と言うと、飛び去る決心をしました。
ところが、翼をひろげないさきに、もう一滴落ちてきました、それで、つばめは目をあげて、見たのです――ああ!何をみたのでしょう?
幸福な王子の目が涙でいっぱいになり、黄金の頬を涙が流れ落ちてあたのです。王子の顔が月光を浴びてあまりにも美しかったので、小さいつばめは憐れみの気持ちで胸がいっぱいになりました。
「あなたは、どなたですか?」
「わたしは幸福な王子だ」
「それじゃあなぜ泣いていらっしゃるのです?おかげでびしょ濡れになってしまいましたよ」
「私が生きていて人間の心をもっていたころは、涙とはどんなものか、知らなかった、無憂宮(サン・スーシー)き住んでいたからで、そこへは悲しみが入ることを許されていないのだ。昼間は仲間と庭で遊び、夜になると私は大広間で舞踏の先頭に立った。庭のまわりにはとても高い塀がめぐらしてあったが、その塀の向こうには何があるのか、聞いてみたいとも思わなかった、まわりのものがみんなそれほどきれいだったから。延臣たちはわたしを幸福な王子と呼んだし、わたしもじっさい幸福だったのだ。もし快楽が幸福であるとしたらね。そんなふうに私は生き、そんなふうにわたしは死んだ。ところが死んでしまうと、みんなはわたしをこんな高いところに立てたものだから、わたしの町の醜さとみじめさがすっかり見えてしまうのだ、そしてわたしの心臓は鉛でできてはいるが、それでも私は泣かずにはいられないのだ」
「なんだって!この像は金のかたまりじゃないのか?」とつばめはひとりごとを言いました。よく礼儀をわきまえていたので、おおっぴらにひとのことをとやかくいうような真似はしなかったのです。
「ずっと向こうの」と低い、調子のよい声で、像は語り続けました。「ずっと向こうの小さな通りに、貧しい家が一軒ある。窓がひとつあいていて、テーブルに向って坐っている女の姿が窓越しに見える。顔はやせて、やつれており、がさがさした、赤い手、針の跡だらけの手をしている、針子なのでね。女王の官女のなかでいちばんきれいなひとが、今度の宮中舞踏会で着る繻子のガウンに、トケイソウを縫いとっているのだ。部屋の片隅の寝台に、その女の小さい男の子が病気で寝ている。熱病にかかっていて、オレンジを欲しがっている、母親には川の水しかやるものがないので、子供はおいおい泣いている。つばめさん、つばめさん、小さいつばめさん、この刀の柄からルビーをはずして、その女のところへ持って行ってやってくれないか?わたしの足はこの台座に作りつけになっているので、動けないから」
「エジプトではわたしを待ってくれています。わたしの友達はナイル川を舞い上がり舞い降りして、大きな蓮の花に話しかけています。やがてみんなは、えらい王様の墓場へ行って眠るでしょう。その墓場には王様ご自身も彩色した棺の中にいらっしゃるのです。黄色いリンネルに包まれ、香料がたきこめてあります。首のまわりに、淡い緑色の硬玉の鎖がかかっており、しぼんだ木の葉みたいな手をしておられます」
「つばめさん、つばめさん、小さいつばめさん、一晩だけわたしのところにいて、使者になってくれない?あの男の子は、のどがからからになっているし、母親は心から悲しんでいる」
「男の子は嫌です。この夏、川のほとりにいたとき、粉屋のせがれの悪童がふたり、いつもわたしに石を投げつけました。当たりっこ無かったですけどね、もちろん。わたしたちつばめはとてとうまく飛びますから、石など当たりはしませんし、その上、わたしはすばしこいので有名な一家の出なのです。でもやはり、そんなことをするのは礼を失したしるしでしたよ。」
しかし幸福な王子があまり悲しそうな顔をしているので、小さいつばめは気の毒になりました。
「ここはとても寒い。でも、一晩あなたのところにいて、使者になってあげましょう」
「ありがとう、小さなつばめさん」
それで、つばめは王子の刀から大きなルビーをつつき出すと、それをくちばしにくわえて、町の屋根の上を飛んでいきました。
大会堂の塔のそばを飛びすぎましたが、そこには白い大理石の天使の彫刻がありました。宮殿のそばを飛びすぎると、舞踏の音が聞こえました。美しい少女が恋人とともにバルコニーへ出てきました。「なんて星がすばらしいことでしょう」と恋人が少女に言いました、「そして愛の力はなんとすばらしいことでしょう!」
「わたくしの衣装が宮中大舞踏会に間に合うといいのですけれど。トケイソウの縫いとりをしておくようにと言いつけてありますの。でも、お針子なんて、とても怠け者ですものね。」
川の上を飛んでいくつばめの目に、船の帆柱にちょうちんがかかっているのが見えます。ユダヤ人町の上を飛びすぎると、年をとったユダヤ人たちが取り引きをしながら、銅の天秤でお金をはかりわけているのが見えます。とうとう貧しい家に着いて、中をのぞき込んでみました。男の子は熱に浮かされて寝台でころげ回っているし、母親は眠りこんでいる、もうくたくたに疲れていましたから。つばめは、ぴょいと部屋の中へ跳びこむと、テーブルの上にら女の指貫とならべて、大きなルビーを置きました。それから、しずかに寝台のまわりを飛び回りながら、翼で男の子の額をあおいでやりました。「ああ涼しい」と男の子は言いました。「きっと体も良くなるにちがいない」そう言って、こころよい眠りにつきましたり
そこでつばめは幸福な王子のもとへ飛んで帰って、自分のしたことを話しました。「奇妙ですね。今とても暖かい気持がするのですよ、気候はひどく寒いのに」
「それはお前が、よい行いをしたからだよ」と王子は言いました。そして小さなつばめはものを考え始めましたが、やがて眠り込んでしまいました。考え事をすると、つばめはいつも眠くなるのでした。
夜が明けると、つばめは川のところまで降りていって、水浴びをしました。「なんと驚くべき現象だ」と鳥類学の教授が、橋を渡りながら言いました。「冬のつばめとは!」そして教授はこれに関して長い手紙を地方新聞に寄せました。誰もがそれを引用しましたが、つまりその手紙には意味のわからない言葉がいっぱいつまっていたのです。
「今夜わたしはエジプトへ行きます」とつばめは言って、さきのことを考えて大元気でした。公開の記念碑を残らず見物し、教会の尖塔のいただきに長い間止まっていました。どこへ行っても、すずめがさえずっていて、「なんて素敵なお客様だこと!」と互いに話し合ったので、つばめはすっかりうれしくなりました。
月が出ると、つばめは幸福な王子のもとへ帰りました。「エジプトに何かご用はありませんか?これから出発しますから」
「つばめさん、つばめさん、小さなつばめさん、もう一晩わたしのところにいてくれない?」
「エジプトではわたしを待ってくれています。明日わたしの友達が第二大滝のところまで飛んでいきます。そこでは河馬が蒲のあいだに寝そべっていて、大きな花崗岩の王座にはメムノン神が坐っておられます。夜もすがら星を見つめていて、明けの明星が輝くと、一声喜びの叫びを発して、それから黙ってしまわれます。お昼になると黄色いライオンが、水を飲みに水際までおりてきます。緑色の緑柱玉(ペリル)みたいな目をしていて、その声ときたら大滝のとどろきよりも大きいのです」
「つばめさん、つばめさん、小さなつばめさん、この町のずっと向こう側の、ある屋根裏部屋に、ひとりの青年の姿が見える。書類でおおわれた机によりかかっていて、そばの大コップには、しおれた菫の花束がさしてある。その男の髪の毛は茶色で縮れており、くちびるは柘榴みたいに赤く、大きな夢見るような目をしている。劇場の支配人のために戯曲をひとつ書きあげようとしてるのだけれど、あまり寒くて、もう字が書けないのだ。火格子にはひとかけらも火がなく、ひもじさのあまり目が舞いそうになっているのだ」
(王子さまつばめの話聞いてないな(笑))
「もう一晩だけご用をつとめましょう」とつばめは言いましたが、ほんとうは優しい心の持ち主なのです。「もう一つのルビーを持って行ってやりましょうか?」
「ああ!もうルビーはないのだ。残っているのはこの目だけなのだ。珍しいサファイアでできていて、千年も昔にインドから到来した品なのだ。それをひとつ抜きとって、あの男のところへ持って行ってください。あの男はそれを宝石商に売って、食べものと薪を買い、戯曲を書きあげるだろう」
「王子さま、そんなことはできません」とつばめは言うと、泣きだしました。
「つばめさん、つばめさん、小さなつばめさん、わたしの言いつけどおりにしなさい」
そこでつばめは王子の目を一つ抜き取ると、学生の屋根裏部屋へ飛んでいきました。屋根に穴があいていたので、中へ入るのはなんの造作もありませんでした。その穴からつばめは飛び込んで、部屋に入りました。青年は両手で頭を抱え込んでいたので、つばめの羽ばたきが耳に入らず、顔をあげてみると、しおれた菫の上に美しいサファイアがのっているのが目につきました。
「ぼくもいよいよ世間に認められるようになってきたぞ。これは誰かがぼくを大いに崇拝してくれる人からの贈り物だ。さあ、これで戯曲を書きあげることができる」と叫んで、まったく幸福そうでした。
翌日、つばめは港へ飛んでいきました。大きな船の帆柱にとまって、水夫たちが船倉から網で大きな箱を引き上げているのをじっとながめました。「よいと、まけ!」と水夫たちは、箱が一つずつ出てくるたびに、わーっと大きな声をあげました。「わたしはエジプトへ行くんだ」とつばめは叫びましたが、誰も気にとめるものはなく、月が出ると、つばめは幸福な王子のもとへ帰っていきましたり
「お別れを言いに来ました」
「つばめさん、つばめさん、小さなつばめさん、もう一晩ぼくのところにいてくれない?」
「もう冬です、そしてまもなくここにも冷たい雪が降るでしょう。エジプトでは緑の棕櫚の木に暖かい日が差し、わにが泥の中に腹ばいになって、
物憂げにあたりを見回しています。わたしの仲間がバールベックの神殿に巣を作っているところで、とき色と白の斑の鳩がつばめを見守りながら、くうくうと鳴きかわしています。王子さま、お別れしなければなりませんが、王子さまの事は決して忘れはいたしません。そして来年の春には、王子さまが与えておしまいになった宝石のかわりに、美しい宝石をふたつ持って帰りましょう。そのルビーは赤い薔薇よりも赤く、またサファイアは大海のように青いものにしましょう。」
「下の広場に、小さいマッチ売りの女の子が立っているマッチを溝へ落して、すっかり駄目にしてしまった。いくらかでも金を持って帰らないと、父親に打たれる、それでおいおい泣いているのだ。靴も靴下もはいていないし、小さな頭には何もかぶっていない。わたしのもう一つの目を抜きとって、あの女の子にやっておくれ。そうすれば父親に打たれずにすむだろうからね」
(王子さまつばめの話聞いてなry)
「もう一晩だけあなたのもとにおりましょう。でもあなたの目を抜き取るなんて、わたしにはできません。そんなことをしたら、すっかりめくらになっておしまいになりますよ」
「つばめさん、つばめさん、小さなつばめさん、わたしの言いつけどおりにしなさい」
そこでつばめは王子の目をもう一つ抜き取り、それをくわえてさっさと飛び降りました。マッチ売りの女の子のそばをかすめて舞い降り、その子の掌へ宝石をすべりこませました。「なんてきれいなガラス玉だこと」と小さな女の子は叫びました。そして、笑いながらうちへかけ戻りました。
それからつばめは王子のもとへ帰りました。「あなたはもうめくらにおなりです、ですからわたしはいつまでもあなたのおそばにいましょう」
「いや、小さなつばめさん」と哀れな王子は言いました、「お前はエジプトへ行かなくては」「わたしはいつまでもあなたのおそばにいましょう」とつばめは言って、王子の足元で眠りました。
翌日は一日中、つばめは王子の肩に止まって、自分が数々の異国で見たものの話をしました。その話というのは、たとえば、長い列を作ってナイル川の岸に立ち、嘴で金魚を捕らえる朱鷺のこと、また、この世界と同じだけ年をとっている、砂漠に住んで、なんでも知っているスフィンクスのこと、また、手に琥珀の数珠をたずさえながら、自分の駱駝と並んでゆっくり歩く商人のこと、また、黒檀のように真っ黒で、大きな水晶を崇拝する月の山々の王のこと、また、棕櫚の木で眠り、これを蜜菓子で養うために二十人もの僧がついている大きな緑のヘビのこと、そしてまた、大きな平らな木の葉に乗って大きな湖を渡り、いつも蝶と戦いを交えている小人たちのことでした。
「可愛い小さなつばめさん、おまえは不思議なものの話をしてくれるが、しかし男と女の悲しみこそ、何物にもまして不思議なものだ。悲惨(ミゼリー)にまさる神秘(ミステリー)はない。わたしの町の上を飛んで、小さなつばめさん、そこで目に映るもののことを話しておくれ」
そこでつばめはこの大きな町の上空を飛びました。すると美しい邸で富豪が浮かれ騒いでいる一方、乞食が門のところに坐っているのが見える。薄暗い路地へ飛び込んでみると、ものうげに真っ黒い通りを眺めている、飢えに悩む子供たちの青白い顔が見える。橋桁の下では、二人の小さな男の子が抱きあって互いの体を暖めようとしている。「おなかがすいたよう!」二人は言いました。「こんなところで寝ていちゃあいかん!」と夜回りに怒鳴りつけられて、二人は雨の中へさまよいでましたり
それからつばめは飛んで帰って、見てきた事を王子に話しました。
「わたしの体は純金でおおわれている」と王子は言いました、「それを、一枚一枚剥がして、あの貧しい人々にやっておくれ。生きている者はいつも、黄金さえあれば幸福になれると思っているから」(ペリペリ〜)
一枚また一枚と、つばめは純金の箔を引き剥がしました、それでとうとう幸福な王子はすっかり鈍い灰色の体になってしまいました。一枚また一枚と、つばめは純金の箔を貧しい人々のところへ持っていきました。すると子供たちの顔は薔薇色になり、笑いながら大通りで遊戯をするのでした。
「もうパンには不自由しないぞ!」と子供たちは叫びました。
やがて雪が降り、雪が降った後は霜が降りましたり通りは銀でできているみたいで、それほど明るくきらきらと輝いていました。水晶の短刀みたいな長い氷柱が、家々の軒から垂れ下がり、誰も彼も毛皮にくるまって出歩き、小さな男の子たちは真っ赤な帽子をかぶって氷の上でスケートをしました。
可哀想に小さなつばめは次第に寒くなってきましたが、しかし王子を置き去りにして行こうとはしませんでした。つまり心から王子を愛していたのです。つばめはパン屋が見てない時、パン屋の戸の外でパン屑をついばみ、翼をパタパタさせて体を暖めようとしました。
しかしとうとう、つばめは死期の近づいたことを知りました。やっともう一度ら王子の肩へ飛び上がるだけの力が残っているだけでした。「さようなら、王子さま!」つばめは、つぶやくように言いました。「お手にキスさせてくださいませんか?」
「お前がやっとエジプトへ行くことになってうれしいよ、小さなつばめさん、お前はここに長くいすぎた。でも、わたしのくちびるにキスしなさい、わたしはお前を愛しているのだから」
「わたしが行くのはエジプトではありません。死の家へ行くのです。死は眠りの兄弟です、そうじゃありませんか?」
そしてつばめは幸福な王子のくちびるにキスすると、王子の足元へ落ちて死にました。(チ───(´-ω-`)───ン)
その瞬間、何かが壊れたような、ぴしりという奇妙な物音が像の内側で響きました。実を言うと、鉛の心臓が、パチリと真っ二つに割れたのです。それはいかにも恐ろしく厳しい霜でした。
翌朝早く、下の広場を、市長が市議会議員たちとつれだって歩いていました。一同が円柱のそばを通り過ぎた時、市長は像を見上げました。「おやおや!幸福な王子はなんてみすぼらしい身なりをしているんだ!」と市長は言いました。
「まったくなんてみすぼらしい!」と市議会議員たちは叫びましたが、みんないつも市長の言うことに同意するのでした。そして一同は像を見るために近寄りました。
「ルビーから刀が抜け落ちているし、目も無くなっているし、もう金ピカじゃない!」と市長は言いました。「まったくのところ、乞食も同然だ!」
「乞食も同然だ」と市議会議員たちは言いました。
「それに、現に死んだ鳥が足元にいるぞ!」と市長は続けました。
「ここで鳥が死ぬのは許されるべきではない、という布告をちゃんと出さねばならん」。そして市役所の事務官がその提案を書き留めました。
そこでみんなは、幸福な王子の像を引き下ろしました。「もはや美しくないのだから、もはや役に立ちはしない」と大学の美術の教授かま言いました。
それからみんなは像を炉で融かし、その金属をどう処分すべきかを決めるために市長は市自治体の集会を催しました。「もちろん、別の像を立てねばならん」と市長は言いました。「そしてそれはわしの像にしよう」
「わしのだ」と市議会議員はめいめい主張して、口論しました。この前彼らのことを耳にしたときも、まだ口論していたのですり
「なんて不思議なことだ!」鋳物工場の職工長が言いました。「このこわれた鉛の心臓は、炉に入れても融けやしない。捨てなくちゃならん」。そこでみんなは、つばめの死骸の転がっている塵の山へ、鉛の心臓を投げ捨てました。
「町中で一番貴いものを二つ持ってきなさい」と神様が天使の一人に言われました。そこで天使は鉛の心臓と死んだ小鳥を神様のところへ持っていきました。
「お前の選択は正しかった」と神様は言われました、「天国のわたしの庭で、この小鳥が永遠に歌い続けるようにし、わたしの黄金の町で幸福な王子がわたしを賞めたたえるようにするつもりだから」
ご閲覧ありがとうございました!
長かったですね!これ、僕が全部打ったんですよ!コピペとかじゃなくて。もう二度とやりません(。´-д-)疲れた。
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